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2019年(平成31年)は、年号が変わる年である。

干支はイノシシで、亥年は無病息災の年であり、現状を維持し守りの姿勢に徹し、次のステージに向けた準備期間ともいわれている。

亥年生まれの人は、裏表がなく何事にも熱心で粘り強さが特徴であるという。

干支は、中国で殷の時代(紀元前17世紀頃~紀元前1046年)には時間や方角を表すのに使用されていたという。日本には4世紀~5世紀頃に伝わってきたというが、古墳文化の頃である。干支に12の動物を当てはめるようになったのは秦の時代(紀元前221年~206年)からだといわれている。

さてイノシシだが、中国ではイノシシではなくブタである。なぜイノシシになったのか?

『江戸の備忘録』磯田道史著に面白い一文があった。

「日本人と動物」という章に、「ブタはイノシシを家畜化したものだが日本ではその習慣がなかった、弥生時代に北九州を中心にブタを飼ったことがあるがすぐ廃れた、なぜなら森林が豊かな日本では野生のイノシシがふんだんに獲れたから、やがて仏教が伝来、肉食は嫌われブタは日本から消えた、そこへ干支が伝わりブタはイノシシになった」とある。

なるほど、干支は中国から来たものだが、日本にはイノシシは古くから本州、四国、九州に分布生息していたのでなじみ深い。獣肉を食べるのは禁忌だった時代でも「山クジラ」と称し、山間部の里山では貴重なたんぱく源であった。

今流行りのジビエ料理の店でもシカやイノシシを供している。「国産ジビエ認証制度」が制定され、農作物の被害防止のための特別措置として消費の拡大を図っている。

私が子供のころにはイノシシは里山ではたまに出てくるものだった。今でも葉山あたりは夜間に一家で山越えして、高速道路の橋げたの下を通り、目指す畑にまっしぐら、器用に鼻で土を掘り、イモや竹薮のタケノコなどを食べに来て明け方には帰っていくという。

雑食性のイノシシは農作物だけではなくネズミや昆虫、ミミズなども食べるため、地面を掘り起こす丈夫な顎をもっている。歯の数は44本あり、下顎前歯はシャベルのような形で犬歯は上下とも鋭く、湾曲して伸び、小臼歯は肉を切るのに適した形で、大臼歯は嚙み砕く力が大きくなるような形をしている。雌雄ともに犬歯が発達し、雄は特に長く強力になっている。

イノシシはすべての歯が生えそろうまでに3年かかる。下顎の最も奥にある第3大臼歯がきれいに生えていれば3.5歳以上である。犬歯が乳歯なら0歳など、各年齢の特徴を抑えていれば年齢がわかる。

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歯からイノシシの年齢を知ることは、単独行動あるいは家族単位の群行動で、里山を荒らすイノシシの年齢層を把握することが大事なのだそうである。イノシシは多産である。山や薮に何頭くらいイノシシが潜んでいるのか、成獣かどうかなどを知ることは獣被害の対策の一歩であると聞いた。

箱根の山道で目の前を茶色の大きな動物が走り抜けていったことがあった。びっくりして足が止まり、佇んでいると体長40㎝くらいのウリ坊が3頭走り抜けた。イノシシだったのか!と思ったが、不思議と恐怖心は沸いてこなかった。イノシシのほうも必死だったのだろう。

日本人にはなじみ深いイノシシ。単なる猪突猛進ではなく節目の意義ある年にしたい。